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最初にこの技法に出合ったのは、友人の“手作り結婚指輪”のワークショップでした。青いロウ材をナイフでそっと削ると、粉の香りとともに指輪の輪郭が現れていく。その原型が、のちに金属へと姿を変えて指におさまる——その一連の流れこそが「ロストワックス(失われたロウ)」です。ここでは、はじめての方にもわかりやすく、工程と魅力をやさしくご紹介します。
ロウ(ワックス)で原型を作り、その原型を石膏系の埋没材で型取り。高温でロウだけを溶かして“失わせ”た空洞に、溶けた金属を流し込んで形を得る鋳造の方法です。手で削った微細な揺らぎ、彫り跡、温度のあるラインまで金属へ転写できるのが大きな特徴。複雑な造形や有機的フォルムにとても向いています。
1 - ワックス原型を削る:ナイフやヤスリで厚み・幅・角度を決め、ミリ単位で整えます。 2 - スプルー(湯道)を付ける:金属が流れ込む道を作り、原型を“ワックスツリー”に組みます。 3 - 埋没:専用の埋没材で包み、硬化させて鋳型をつくります。 4 - 脱ロウ(バーンアウト):加熱してロウだけを除去。内部に原型と同じ空洞が残ります。 5- 鋳造:溶けた金属を遠心または真空で一気に流し込み、冷まして固めます。 6- 型から取り出す:埋没材を崩して鋳物を取り出し、スプルーを切り離します。 7- 仕上げ:バリ取り・磨き・必要に応じて石留め。光沢かマットか、表情を決めて完成です。
・埋没材:原型を包んで鋳型にする粉体。焼成で硬化します。 ・スプルー:金属を流し込む道。冷却後に切り落とします。 ・バーンアウト:加熱でロウを焼き抜く工程。 ・デベスティング:鋳造後、埋没材を落として取り出す作業。
日本でも人気のワークショップでは、指輪のワックス原型を自分の手で削って形にしていきます。つまり、ロストワックスは思ったより身近な技法。自分の指の感覚で決める厚みやエッジ、ほんの少しの非対称——その「わたしらしさ」まで最終形に映し取ってくれるのが、この手法のやさしさです。
・彫り跡まで届く表現力:手先のニュアンスやテクスチャーが金属に残る。 ・有機的フォルムに強い:しなやかな曲線や空間の抑揚をつくりやすい。 ・少量生産と好相性:一点物や小ロットの制作に向き、想いを丁寧に込められる。 設計と仕上げに時間をかけるほど、輪郭は澄み、指あたりはやわらかく。微差の積み重ねが、日常でふと触れたときの心地よさにつながります。
・鍛造:地金を叩いて延ばす製法。高い強度とシャープな直線が得意。 ・3Dプリント+鋳造:デジタルで原型を作成し、均質性やリピートに強い。 ・ロストワックス(手彫り):手の痕跡や微妙な揺らぎが魅力。唯一無二の表情が生まれます。 いずれの方法にも良さがあり、デザインや用途に合わせて選ばれます。ロストワックスは、人の手が生む“余白”を大切にしたいときに光る選択です。
オデリー パリ(ODELIE Paris)では、フランスの独立系アトリエから、ロストワックスの魅力を生かした作品を厳選しています。Jeannette Studio(ジャンネット)や、Anna Sottilotta(アンナ・ソッティロッタ)の一部ピースなど、手仕事の余韻が息づくコレクション。触れるほどに、かたちの“やさしい癖”が好きになっていくはずです。
ひとつの形が生まれるまでに積み重なる、静かな手仕事の時間。その時間ごと身につけていただけるのが、ロストワックスのジュエリーです。気になる作品があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。